土地の造成工事を行う場合の費用例をケース別に解説
https://ichikawa-kensetsu.com/toti-zousei/
造成工事にかかる費用とは?
家を解体した後の土地や所有している遊休地などを、農地に変えたり宅地に変えたりすることがあります。
そのための工事を一般に「土地造成工事」と呼んでいますが、土地の造成にはいくらくらいの費用がかかるのでしょうか?
ケースバイケースで金額が変わってきますが、今回は「畑を造成する場合」「田んぼを宅地に造成する場合」「駐車場を造成する場合」の一般的な費用の例を挙げながら、土地造成の基本的な部分について解説します。
土地造成工事とは
私たちが暮らしていくためには「土地」が欠かせません。
住宅を建てて住んだり、走ったり歩いたり、車や鉄道で移動したり、農作物を育てたり…こうした活動のすべてが土地の上で行われています。
そんな土地は自然のままの地形では使いにくいことが多いため、高い部分を掘削したり切土したり、低い部分には盛り土したりするなどして、目的に合わせて整地することで使いやすく整備します。
このようにして目的に合わせて「用地」を造ることを土地造成といい、その工事を土地造成工事と言います。
造成工事の費用と坪単価の相場
造成工事にはどれくらいの費用がかかるものなのでしょうか?具体例を挙げて一般的な費用の相場を見てみましょう。
畑の造成費用
まずは資材置き場や空き地などを畑にする場合の造成費用についてです。
土の入れ替えなどを行わずにどんどん耕して、足りなければ土を追加していくという方法も考えられますが、ここでは土の入れ替えも必要なケースで考えてみましょう。
25坪(82m2:平方メートル)の土地を50cmの深さまで掘削し土を入れ替えるとすると、およそ40m3(立方メートル)分の土が必要になります。
逆に処分する土は掘削していく中で細かくほぐれますので、量が少し増えて48m3程度になると考えられます。
- 掘削、積み込み費用
- 残土処分費用
- 土の購入費用
- 敷き均し(整地)費用
- 重機回送費用
- その他(人経費、諸経費等)
などを合計するとおよそ750,000円~800,000円程度となり、坪あたりに換算すると30,000円~32,000円程度となります。
なお、もし重機が入れない場合は掘削、積み込み、整地などを人力で行わなければなりませんので、トータルでは1,100,000円~1,200,000円程度、坪あたりに換算すると44,000円~48,000円程度は必要になると思っておいた方が良いでしょう。
田んぼを宅地にする費用
続いて田んぼだった土地を宅地に造成する場合の費用を見てみましょう。
一般に農地を農地以外のものにする造成のことを「農地転用」などと言ったりします。
農地を転用して宅地として新たに利用する場合「許可・届出」→「造成工事」→「宅地転用後の処理」が必要となり、それぞれに費用が発生しますが、ここではその中の造成工事費用について解説します。
土地の状況や自治体が定める基準などによって異なるためお住いの地域が必ずしもこの金額という訳ではありませんが、東京都を例に挙げると
- 整地費用:1m2あたり600円
- 伐採/抜根費用:1m2あたり600円
- 地盤改良費用:1m2あたり1,400円
- 土盛費用:1m3あたり4,700円
- 土止(土留)費用:1m2あたり55,000円(*土止は土盛に必要な工事です)
となります。
また、福岡県の例では
- 整地費用:1m2あたり600円
- 伐採/抜根費用:1m2あたり600円
- 地盤改良費用:1m2あたり1,200円
- 土盛費用:1m3あたり3,600円
- 土止(土留)費用:1m2あたり34,100円
と、東京都に比べて地盤改良費用、土盛費用、土止費用が安いことが分かります。
なお、傾斜地を宅地造成する場合は平地の場合と比べて費用が高くなります。
同じく福岡県を例に挙げてみますと
- 傾斜度3度超5度以下:1m2あたり8,400円
- 5度超10度以下:1m2あたり14,400円
- 10度超15度以下:1m2あたり20,100円
- 15度超20度以下:1m2あたり31,900円
このように、費用は細かく分かれており、また自治体ごとに異なりますので、詳しくは管轄の自治体にお問い合わせいただくかホームページ等でご確認ください。
駐車場造成費用
次に駐車場として新たに造成する場合の費用です。
250坪(約830m2)の土地(畑)を、地盤改良なども行って砕石敷駐車場として造成する場合の費用例は750,000円~1,000,000円程度、坪あたりに換算すると3,000円~4,000円程度になります。
また、砕石敷ではなくアスファルト舗装をする場合はもう少し費用が高くなり、2,800,000円~3,000,000円程度、坪あたりに換算すると11,200円~12,000円程度となります。
一例ではありますが、このような費用が一般的な相場と言われています。
ただし、その土地の状態や形状(平面、傾斜面等)、どのような仕上がりを求めるのか、あるいは広さや土の材質、コンクリートなのかアスファルトなのか、重機の使用が可能かどうかなど、さまざまな条件によって費用は大きく異なりますので、あくまで参考程度にとどめておいてください。
造成工事の手順
造成工事にはさまざまな目的があり、その目的によって工事の手順なども変わりますが、ここでは一般的な宅地造成の手順をご紹介します。
1:重機の搬入
現場に重機を搬入します。現場前の道路が狭いなどの理由で、運搬車で搬入することができない場合は、自走にて現場入りすることになります。
2:掘削と残土処分
掘削をして残土処分をしながらゴミやガレキなどもきれいに撤去していきます。
3:積み込みと運び出し
掘削をして発生した、汚れている土などをダンプカーなどに積み込み、処分場へ運び出します。
4:赤土の搬入
赤土を搬入します。
5:締固めと整地
土の搬入→整地→土の搬入→整地という作業を繰り返します。
キャタピラなどで締固めをしながら整地します。
6:法面施工
盛土によってできた傾斜部分を法面(のりめん/のりづら)と言いますが、その法面部分をしっかり整地して土が崩れてしまわないように仕上げます。
7:完了
最後にきれいに整地をして完了です。
あるいは、掘削をしてダンプカーに残土を積み込んだ後、砕石を敷き均して締固めをする作業があり、コンクリートを打設してクレーンなどでL字擁壁(ようへき)を据え付けるところまで行うこともあります。
ところで、実は土地造成は「すぐれた技術」と「繊細な感覚」が求められる非常に高度な作業ということもぜひ知っておいてください。
たとえば、締固めひとつとっても、とにかく締めれば固まるかといえばそうではなく、一定以上の力が加わってしまうことで地盤に含まれる水分が一点に集中してしまい、水が吹き上がってくることもあります。
こうした特性をいち早く、かつ正確に見極めて作業を進めるセンスが必要になってくるのが土地造成工事なのです。
造成工事はプロへ依頼
今回は皆さんにあまり馴染みがないかもしれない「土地造成工事」についてのお話でした。
造成工事費用はどのような土地を造成するのか、目的は何かなどによっても大きく変わってきますので、まずは造成工事を依頼する業者に見積もりを依頼するところから始めましょう。
今回ご紹介した費用の例はごく一部で、しかもネット上でも土地造成工事に関する情報量はそれほど多くありませんが、今後何かしらの土地造成を検討している方はぜひ、参考にしていただければ幸いです。